まだ環境問題が今ほど取り上げられていなかった時に、弊社は産声をあげました。近郊の自動車部品メーカーから成形不良品などの資源プラスチックを回収して、その性質を整えて納入する。そこには原価低減以外の目的はなく、顧客からは産廃処理費の削減となり、大変重宝されたようです。その頃は4トントラックを5台程度所有し、各地の成形メーカーを飛び回り回収していました。時は流れ、現在、直接弊社が成形不良品を取りに行っていません。ある時から新材があまりに安くなり、再生材料を作ることでは採算が全く取れなくなったためです。
現在は全て仕入先様から資源プラスチックを調達しています。今から8年ほど前に自動車メーカーの要望で「再生材の活用ができないか」と言われ、挑戦が始まりました。あらゆる実験を重ねて、どうやら新材と変わらぬ物性であることが証明でき、初めて認証材として登録されました。すると、今度は供給責任の問題があり、プレコンシューマーの資源プラスチックはルートが決まっており、回収量を増やすことができません。
そこで注目したのが、解体自動車から手間を掛けてプラスチックを採取することでした。現在、解体業者様から100トン/月を購入しています。しかしながら、この精緻解体にはとても手間が掛かり、お取引きいただいている解体業者様には不採算にも関わらず、高い「志」でやってくださっていることに心より感謝申し上げます。
最近取引先からある動画の紹介を頂きました。『ラブワゴンと99%の愛。~TOYOTAリサイクル~』という題名です。昔「あいのり」という恋愛観察番組をやっていました。5名の見知らぬ男女がワゴン車に乗り、様々な体験を通じて愛を育んでいく現実のドラマが人気だったようです。『ラブワゴンと99%の愛。』は、そのピンク色のワゴン車がバッテリーの故障やディーゼル車規制で、廃車になっていく動画です。擬人法が使われており、「愛を見守っていた私であったが、走れなくなった私にリサイクルという愛が与えられた」とナレーションが入り、人間の手でワゴン車のフロントグリルがはずされる映像が入ります。最後は圧縮されて鉄の塊になります。そして「あなたの購入する車は私の生まれ変わりかもしれない」と続き、最後に「廃車はゴミではない。未来への資源だ」と締め括られます。
この動画を作成した会社の環境配慮の取り組みに賛同し、解体業者様との取り組みをますます強固にし、三位一体となってあらゆる支援をいただきながら共に前に進んでいくことを誓っております。自動車リサイクルにまつわる皆々様方、今後ともよろしくお願い申し上げます。
合掌