「奇跡のリンゴ」どこかでこの言葉を聞いたことがありませんか?なぜ奇跡なのかと言えば「2年間そのまま放置しても腐らないリンゴ」だからです。このリンゴは水分が抜けて枯れていき、最後は乾燥したドライフルーツになり、においも甘く残っているということです。
この「奇跡のリンゴ」はどうしてできたのか? 不思議なお話しがあります。
青森の木村秋則さんは決めたのでした。「リンゴを栽培するのに農薬を使わない」と。木村さんの妻が農薬散布すると、肌がただれて水ぶくれになり、いつも1週間くらい動けなくなってしまうからです。消費者にも良くないと考えたのです。自然農法を学び始めました。農薬をばったりやめたのです。すると秋になり、リンゴの葉がすべて落ち、たくさんの害虫が発生しました。3年経っても、まったくリンゴは実らないのです。農薬の代わりにあらゆるものを試しましたが、全ては徒労に終わったのです。農薬を使った畑では、青々と葉が揺れています。木村さんの畑だけが荒涼とした風景を呈しています。そして6年目には肝心の木が折れ始めたのです。収入がないので、木村夫婦は庭の雑草を食べたり、昼は農作業、夜はキャバレーのバイトなどをして、日銭を稼ぎました。娘の「お父さんの作ったリンゴを食べたことがない」という言葉が胸に突き刺さり、ついに木村さんは自殺を決心しました。ロープをもち、岩木山に向かったのです。ちょうど首をくくるのに良い木を見つけ、枝にロープを掛けようとした矢先、運命の出会いがあったのです。ふと目を横にやると、リンゴの木が浮かびあがったのです。良く見るとドングリの木で、「何でこのドングリが農薬も化学肥料もないのに、こんなに茂り、実をつけるのだろう」根元を手で掘ったところ実にフカフカと柔らかいのです。土は様々な微生物が息づく、生命のにおいがしたのです。「リンゴの木もドングリと同じような環境にすれば良い。雑草が勢い良く根を張っているということは、リンゴの根も勢いよく張るということ。雑草だけ取ってもリンゴの木は育たない」。それからは、雑草も伸ばし放題にし、ひたすら自然の状態に近づけようとしたのです。2年後、大慌てで木村さんの家に入ってきた知人から、畑一面に咲いたリンゴの花を知らされたのです。
目的に向かって決して諦めない心が奇跡を生み出す。木村さんだけではなく、誰の身にも起こり得る奇跡ですね。
合掌