もちろんまだまだ人生の旅の途中ですが、そこそこ分かりかけてきたことがあります。それは生き甲斐という幸せのプロセスを見つけ出すには、まず自分の足下を深堀することがよいのではないかということです。深堀りするとは与えられた仕事をコツコツと地道にやり続けると、その人にしか行けない泉に辿り着き、それが社会で役に立つ行為や活動となり、人から評価され、賞賛を受けるようになる。つまり自分の人生に大きな意味を見出せるようになるということです。
致知出版社から出された「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」に出てくるプロフェッショナルと呼ばれる方々は、全てある一つの道の達人であり、寝ても覚めてもそのことだけを考え続けて偉大となった人々の物語であり、我々凡人にも大きなヒントを与えてくれています。
道場六三郎氏は「スピードアップだけでは、人の2倍の仕事はできません。冷蔵庫の使い方でも工夫しました。どこに何が入っているのか分かっていました。冷蔵庫の中を仕切ってどこに何が入っているかをメモにとり、扉に貼っていたからです。こうすれば、指示されたものをすぐ取り出せるし、庫内の温度も上がりません。冷蔵庫の開け閉めなんて些細なことだと思うようでは、一流の料理人にはなれませんね」。
イチロー氏の目標設定に関する次の言葉にも深堀感を感じます。「目標は高く持たないといけないんですけど、あまりに高すぎると挫折してしまう。だから、小さくても自分で設定した目標を一つひとつクリアして満足する。それを積み重ねて行けば、いつかは夢のような境地に辿りつく」。
ユニクロの柳井氏は「結局サラリーマン意識じゃダメなんですよ。自分は会社という場所に、【自営業】をするために来ている。自分は給料を貰っている立場だとかじゃなしに、自分が会社を食わせている、というふうに思わないといけないと思います。仕事が面白いと思うためには、自分がそこに本当に懸けないと、絶対そうは思えない。中途半端な気持ちでやっていたら、面白くも何ともないですよね」。
深堀りの究極のお話は、京セラの稲盛氏です。「研究に没頭する中で、大きな【叡智】に触れた感覚がある。それはこの宇宙のどこかに【知恵の蔵(心理の蔵)】ともいうべき場所があって、私は自分でも気がつかないうちに、その蔵に蓄えられた【叡智】を新しい発想やひらめきとして、その都度引き出してきた」。世界の知性ともいうべき科学者から【創造】の瞬間とは、人知れず努力を重ねている研究生活のさなかに、ふとした休息をとった瞬間であったり、時には就寝時の夢の中であったりするそうです。そのような時に、【知恵の蔵】の扉が開き、ヒントが与えられるというのです。
4人の偉人を紹介しました。我々も今の仕事を深く見つめ直し、命懸けの態度で臨めば、たどり着ける領域ではないかと信じます。
合掌