前野隆司さんは武蔵野大学のウェルビーイング学部長です。ウェルビーイング研究の第1人者と言われています。ウェルビーイングに生きるための条件を語っています。珠玉の言葉が語られています。できることから実践していきたいと思っています。語録を3回に渡り綴っていきます。

 そもそも「幸せ」とは何でしょうか?一つの実体があるわけではなくて、様々な満足の集合体です。健康、人間関係、仕事などへの満足など個別の満足が積み重なり、重なりあって「幸せ」という総体ができています。

 私が研究する幸福学では、「楽しい」「うれしい」「快活」といったポジティブ感情と、「怒り」「悲しみ」「苛立ち」といったネガティブ感情の二つに分けて捉えます。「機嫌がいい」とうのは、このポシティブ感情が大きく、ネガティブ感情が小さい状態と言えます。ポジティブ感情が大きい人は人生満足度も高いことがわかっていすから、日々機嫌がいい人は幸せになる可能性が高いと言えます。

 年収が高い人ほど幸福度は高くなります。ただし効果には限りがあります。グラフの横軸に年収、縦軸に幸福度を取ると、最初はぐんぐん上がりますが、年収が一定額を超えるとカーブは緩やかになり、上昇のペースは鈍くなります。年収1億円の人と10億円の人を比べても、幸福度の違いはわずかです。年収1千万を超えると、上昇はかなり微々たるものと考えて良いでしょう。
 一方で裕福でありながら幸福度が低い人もいます。それには4つの理由が考えられます。まず、「資産が減ることへの不安」です。リーマンショックで100億円損をし、まだ50億円残っているのに、「自分は日本で一番不幸だ」と悲嘆している方がいました。持っているものが減る苦しみは額が大きくなるほど強くなる場合があります。二つ目は「資産の形成と消費のアンバランス」です。プロスポーツ選手が引退後に自己破産したり、宝くじの高額当選者が当選後も生活を乱したりする例が少なくないのは、手にしたお金を使いこなす力が伴っていないからだと言えます。三つ目の理由として「人間関係が希薄化し、人を信じられなくなること」が挙げられます。大金を持つとお金目当てに近づいてくる人や、本心を隠してへつらう人も増えてきます。誰を信じれば良いのかわからなくなり、家族すら信じられなくなったという富裕層もいるでしょう。そして最後が「優越感を幸福感とはき違えてしまう」です。優越感とは比較の中で、自分が上だと感じる気持ちのことで、幸福感とは別の感情です。自分より上の人と比較してしまえば、優越感の裏側にある劣等感に苛まれてしまいます。物や地位を持つ人こそ幸せとは限らないです。〇〇があれば幸せなのには、○○がない今の自分は幸せではないと思い込み、自分を不幸にしていきます。
 次回は裕福でないのに幸せな人の傾向を見ていきます。
合掌