中小企業では、日本一の月あたり提案件数を誇る岐阜県の知恵工場こと㈱タニサケの松岡会長に、当社の社内報の向上をどうやるかを相談しに行った際に、タニサケ様の社員が掃除をする俊敏な動きを見て感心し、すぐに手紙を出しました。
「事務所の中から玄関の様子を見たら、二人の女性が楽しそうに床の雑巾掛けをして、また真っ白な雑巾で床をガラスでも磨くようにして、丹念にやっていました。もちろん這いつくばってです。よく見ると置物もたくさんあるのですが、丁寧にその裏側までも磨いていました。
玄関に出て見ると、オリジナルの掃除道具が並べられており、上り口のタイルは水洗いされ、洗剤で磨かれたあと、モップで拭かれていました。玄関の庇の天井も脚立にまたがり専用のモップで、一所懸命に磨かれていました。その脚立の一番上のステップ脇には、フックがあり、スプレー式の洗剤が掛けてあり。一人でやれるような工夫がありました。
事務所の窓ガラスは二人一組となり、これまたピカピカに磨かれていました。一人ひとりの動きがキビキビしていて、まるでプロの職人のようでした。今までの我々の掃除が飯事と思わされた瞬間です。凡事徹底とは、ここまでやるのかと言行一致のタニサケの皆様に頭が下がりました。少しでも近づけるように、わが社も実践してまいります」
この手紙を読んだ松岡会長は次のようなことを思い出します。「約20年前に、祈りの経営の㈱ダスキンの幹部の皆様が研修で、早朝に来社された時、雪が降るなかで当社の男性社員が嬉々として掃除する後姿を見られ『ここまでやるのか』と大感激されて社風を褒めてくださったこと」を。
私も5年前に伊那食品工業に出向いた際、
事務所で全員が起立して迎えてくれましたが、大きな声の挨拶とともに、その時の女性達の
瞳の美しさに驚かされました。伊那食品工業も社員が嬉々として掃除をすることで有名ですが、タニサケの女性社員も同じ瞳の輝きを宿していました。気持ちを込めた掃除は自分の心を磨いて、それゆえに瞳が澄んでくるのでしょう。掃除を楽しむ女性は綺麗になり、男性は後ろ姿で感動を与える人になる。
たかが掃除されど掃除。楽しくやる掃除の奥深い世界に一歩踏み込んで、自分を磨き上げる日常をつくっていきたいものです。
合掌