昨年の10月から興行収入400億円を突破してロングラン上映されている劇場版「鬼滅の刃」ですが、自分もコロナ禍の5月にネットフリックスで鑑賞したことが契機になり、本も全巻購入し、映画も公開した翌日には観にいくという有り様で、このような高揚感を抑えることができないのは初めてで、よほど何かが響いたのだと思います。
 炭治郎が命をかけて、掛けがえのないものを守り続け、困難に打ち勝ち成長していく姿に心打たれるといえば簡単ですが、相手の鬼たちの過去に背負った心の痛みなども丁寧に描かれていて、心象描写と美しい絵が相まって、奥深い世界に誘われます。
 竈門炭治郎の名前の「炭」にまつわる言葉を二つ紹介します。
 一つは「炭に入れた火箸を握って離さない」です。一言でいえば、凄まじい「覚悟」を表した言葉です。人がひとつのことを成し遂げようとすると、前人たちがやったことがない道を開拓せねばならないです。     
 今、弊社が力を入れている自動車の精緻解体から、プラスチック部品を取って、再度自動車部品に戻す、通称Car to carリサイクルは、過去には誰もやったことのない事業でした。この拡大には、辛く苦しいことがあろうと、志を曲げない、逃げない、諦めない、くじけない、やり切る、やり抜く覚悟が必要です。焼け火箸を握るなどとは、現実にはあり得ませんが、これほどの覚悟がなければ一端のことはできないと言っても過言ではないと思います。
 もう一つは「炭のような人間になれ」です。「ユダヤ人大富豪の教え」でベストセラー作家になった本田健さんの言葉です。29歳の時、お金にまつわる本を書こうと思ったができず、育児でセミリタイアした期間も含めて、4年後に書いた本が処女作でベストセラーになったことで、この4年間が停滞期間ではなくて、作家としての熟成期間になったことの経験を話しています。
 焚き木やバーベキューをやる時、木はパッと炎があがり、メラメラ燃えますが、すぐに燃え尽きます。炭は、火を起こすまでに時間はかかりますが、いったん燃えるとなかなか消えません。地味でかっこう悪いように見えますが、人生においてもジワジワ成功していき、年老いても内なる火はいつもついていて、風を吹き込めばいつでも燃え上がる人生。いかがでしょうか。「炭」のような人間になってみたいですね。
 二つの「炭」にまつわる話題。双方ともに、「忍耐」の重要さを物語ります。

合掌