日本のGDPの歴史を紐解いてみると、世界の1人当たりの名目GDPは2000年には、184国のうち、ルクセンブルクに続く2番目だったものの、それからは下がっていく一方で、2024年には190国のうち36位です。2位だったときの金額は約400万円で24年経過した現在36位の金額は約500万円です。ちなみに現在も1位を継続しているルクセンブルクは2000年には約800万円だったのが、2024年には、約1900万円で、実に240%の上昇率で、日本とは雲泥の差になってしまっています。他の国の同年間の上昇率を比較すると、アメリカ、イギリスはやはり240%、ドイツは200%、お隣の韓国は 360%そして中国に至っては何と1200%です。全体GDPが2位になる訳です。
日本の1人当たりGDPが伸びてこなかったのを称して「失われた20年」と言われ、その理由は本当に多くあるのでしょうが、逆に2000年までの日本の成長率が半端なくすごかった、と言えるのではないのかなと思います。
今回はなぜ、2000年まで、これほどに高度成長ができた理由を私見で述べたいと思います。
一番の理由は戦後まもない朝鮮戦争特需で、輸出額が飛躍的に伸びて、あらゆる産業の勃興から進展があったことが挙げられます。それからも岩戸景気、オリンピック景気、イザナギ景気などの景気浮揚政策を経て、最高はバブル時代を迎え、そして終焉します。この戦後50年で、他の国にない経済成長ができたのは、それを支えた日本人の素晴らしさがあったと考えます。
それは、2つあって、1つは安全を第一にする国民性だと思います。高度成長期に、あらゆる製品が開発され、世界中で、品質において「ジャパンイズNo.1」とされましたが、開発の途中では、いろいろな危険が付き纏うこともあったと思いますが、何があろうと技術者の命を守るという強い信念があるため、相互に最高の安全度をもって、開発に着手したからこそ、世界で一番の製品群を作ることができたのです。この考えの礎になったのは、古くは、秀吉時代の刀狩りであったのではないかなとも思います。刀を無くし、争いを止め、融和することでお互いの命を守ろうという考え方です。
そしてもう1つは、高い精神性です。江戸末期に列強が日本を侵略しようとして、ふと街角を見ると、多くの民が立ち読みながら、本を読んでいる。自国では見ない光景に侵略を思い留まったといいます。この読書文化の礎になったのは、徳川家康が寺子屋文化を作って、庶民に文字を読むという教育を施したからです。正に読書する習慣がこの国を戦争から守ったのです。読書で育まれた高い精神性は、独特な文化をつくり、思いやりや慈しむ心や柔軟な心や相手を許す心となり、真面目さも相まって、経済発展に寄与したことと思います。これからは日本が再度成長する時代です。この二つの想いを更に高めていって、日本人に生まれたことを誇りとして生きて参りましょう。
合掌