「初動」とは文字通り、最初の行動という意味ですが、この「初動」がとても大事なことと感じた2つの事例がありますので、紹介します。
一つは今年の1月中旬に起こった事例です。当社のグループ会社の協力工場の塗装ブースでシンナーを計量中に静電気爆発が起き、塗装ブースが破壊されるという出来事が起こりました。
自動車向けの部品が毎日2,000個以上塗装されるラインで、復旧まで3か月必要という非常事態になりました。すぐに協力工場に対策本部が設置され、関係会社が集合し、携帯電話のスピーカー機能を活用して、バックアップのための話合いが夜を徹して繰り広げられました。まもなく数社の会社が選ばれ、製品を持ち込み塗装トライ、測定がされて、納入が始まり、結果的には納入先に迷惑をかけることなく、特別便も出さずに通常の状態で出荷されました。
週の前半の事故で、一時はラインストップの危機にも瀕しましたが、あらゆる企業、立場の方が素早く行動した結果、回避することができました。「初動」がいかに大切なことかを身をもって体験することになりました。
もう一つは、大変な問題になっている新型肺炎です。
命を懸けて新型ウイルスの存在を主張した医師がいました。この方は偽りを吹聴した、として逮捕されるのです。また当初はヒト・ヒト感染はしない、という楽観的な見解があったと聞きます。その国の役人達が、当初の発生地域に足を運んだり、現地で患者に直接会って専門家たちの話を聴いたりしておられれば、もう少し状況が変わっていたのかもしれません。本当に、適切な「初動」をとることの大切さを痛感させられました。
日常や社会生活の中でいつもと違うことが起きたら、現地へ行って、注意深く見る、人に相談する、そして、しかるべき処置をすぐに取るなどの「行動」、すなわち「初動」という言葉を大事にしていきたいと改めて感じております。そして、皆様とその大切さを共有してまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
合掌