ご縁で中部経済同友会に入会させていただき、各種の講演を聴く時間を頂戴しています。先日、京都大学名誉教授の森谷敏夫さんから学んだ健康法が、以前から何故だろうと思っていたことの解答を得て、納得できたことがありました。そのことを共有したいと思います。

 健康法の一つ目は睡眠時間を7~8時間取ることです。体中の老廃物を排泄するのはリンパ節ですが、リンパ管があるのは、首から下だけです。脳は人間の1日あたりの栄養摂取量の25%を使いますが、その老廃物はどのように廃棄されるのでしょうか?実は睡眠時には、脳が少しだけ小さくなります。その隙間に水分と共に、脳内ホルモンが分泌され、脳のしわの中に入り込んで、アミロイドβ(ベータ)と呼ばれる老廃物を分解するのです。その分解時間が7~8時間ということです。眠いのは、まだ老廃物の処理が終わっていないためです。認知症やアルツハイマーにならない為にも重要なことだと思います。また短い睡眠は、がんの発生を抑制するナチュラルキラー細胞の70%も喪失させ、がん発生の可能性を高くします。教授は「睡眠は最強の万能薬だ」と仰います。

 二つ目は、筋肉を動かすことです。立つことでも歩くことでも構いません。立つことは座ることの1.3倍、歩くことは3倍のカロリーを消費します。現代人は座りすぎということです。過去、宇宙飛行士に3週間に亘りカロリーの高い宇宙食を与え続けたところ、例外なく、糖尿病になったようです。現代人は動かなくなった分だけ、常に栄養を摂り過ぎている状態になっているということです。脳にとっての栄養は炭水化物だけで、人間に取り込まれた炭水化物の90%は脳と筋肉で消費されます。現代人は筋肉での消費が満足でないため、それを補う現象として、すい臓からインスリン(インシュリン)が分泌され、やっと分解している状態です。それが続くと、すい臓の機能が低下して、糖尿病になるということです。筋肉は糖と脂肪を燃やす器官と考えて、1日30分以上の運動は必ずやって欲しいとのことです。

 森谷教授は現在72歳で、毎年の健康診断では、全てA判定です。今でもボディービルの大会に出るほどの筋肉で、顔からも若々しさが溢れています。我々も学んだことを実践して、自分自身の健康寿命を長くして、人生を楽しんで参りましょう。

合掌